シアリスとクエン酸シルディナフィルの肺の病気へ応用

シアリスとクエン酸シルディナフィル(バイアグラ)は代表的な勃起不全症(ED)の治療薬です。いずれも薬効は血管を拡張させることに由来しています。シアリスとクエン酸シルディナフィルはホスホジエステラーゼVという酵素を阻害します。これは血管平滑筋が弛緩するのに必要なサイクリックGMPという物質を分解する酵素です。ホスホジエステラーゼVを阻害することによって血管内のサイクリックGMPの量は増加し、これによって血管平滑筋が弛緩し、血管は拡張します。これが陰茎部において起こると海綿体へ流入してくる血液の量が増加し、勃起が起こりやすくなります。
ただしシアリスやクエン酸シルディナフィルの効果は陰茎部だけでなく全身の血管に及びます。頭部の血管が拡張することによって脳実質を圧迫し、頭痛の副作用が現れることがあります。また顔面の血管が拡張することによって顔面が紅潮することもあります。さらにそれ以外にも、めまい、ふらつき、鼻づまりなどの副作用が現れることがあるので注意が必要です。
しかし作用が全身に及ぶことを利用して、他の疾患の治療に応用されている事例もあります。その中の1つが肺動脈性肺高血圧症です。この疾患では肺動脈の内腔が狭窄することによって肺動脈に過剰な圧力がかかり、右心室肥大、疲労感、倦怠感、呼吸困難、むくみといった症状が現れる疾患です。シアリスの有効成分タダラフィルを含むアドシルカ、クエン酸シルディナフィルを含むレバチオは肺動脈性肺高血圧症の治療薬として日本でも承認され、臨床応用されています。ただしアドシルカは1回40mg、レバチオは1回20mgを経口投与することと定められており、ED治療の用量とは異なるので注意が必要です。